ある単語を聞いて何を連想するか、そして話をどう展開するか、
それが英語教師の「味」であり、生徒と話題を共有する楽しみでもあります。
今回はcompare(比較する)でスタート!
英語教員よ、Be specific!(具体的であれ!)
【動】compare(比較する)→ 【名】comparison(比較)
2023年11月、高三のクラスで「文法クイズ」として「品詞転換」を始めました。
第3回目は-sionです。
comparison(比較)は例外的なつづりですが、-sion と一緒に紹介しています。
名詞の接尾辞 | 【動詞】 | 【名詞】 | 名詞の意味 | 出題 | 大学名 |
-sion | confess | confession | 告白 | 【動】⇨【名】 | 中央(法)08 |
expand | expansion | 拡張 | 【動】⇨【名】 | 東京理科(薬)00 | |
decide | decision | 決定、決心 | 【動】⇨【名】 | 東京理科(理)96 | |
persuade | persuasion | 説得 | 【動】⇨【名】 | 東京理科(理)01 | |
-ison | compare | comparison | 比較 | 【動】⇨【名】 | 中央(法)01 東京理科(薬)01 学習院(経)99 多摩美07 |
まずは、当たり前ですが、英語の授業ですから、
【動】compare(比較する)→ 【名】comparison[コォムパァリィスン](比較)を生徒に押さえてもらいます。発音も要注意ですね。
以下が授業中の課題。
課題:派生語(動詞・名詞)を空欄①~⑤に書きましょう。上に載っています。
名詞の接尾辞 | 【動詞】 | 【名詞】 | 名詞の意味 |
-sion | discuss | ① | 議論 |
admit | ② | 許可 | |
decide | ③ | 決心、決意 | |
④ | persuasion | 説得 | |
-ison | compare | ⑤ | 比較 |
compare(比較する)→compared with ~(~と比べて)
プリントでは入試問題も紹介しています。
☆彡 大学入試の出題例 中央大(法)05 (a) Compared with the latest models, my car consumes too much gas. 最新モデルと比べると、私の車はガソリンを消費しすぎる。 (b) In ( ) with what I experienced in Florida last year, this storm is nothing. 昨年フロリダで経験したことに比べれば、この嵐は何でもない。 |
(a) Compared with ~ [コォムペェァァドゥ ウィず]「~と比べ[られ]て」 (b) In comparison with ~[ィン コォムパァリィスン ウィず]「~との比較で…」 |
compared with ~(~と比べ[られ]て)の和訳に注目!
compared with ~の和訳は「~と比較すると」って、よく書いてありますが、
ルターさんは「~と比べ[られ]て」って和訳するんですね。
どうしてですか?
過去分詞は2つの意味があります。
comparedの意味は
❶比べられて…
❷[すでに]比べて… です。
文頭に使う分詞構文は、主語を説明します。
主語の人・物が「比べられて…」という構成です。
自然な和訳は「比べて…」になりますが、to compare やcomparing にしてはいけません。
文法的な用法を忘れないように compared with ~「~と比べ[られ]て」にしています。
比較しないことが幸福の鍵!
compare(比較する)と言えば、みうらじゅんさんの「比較三原則」を紹介しないではいられない。それが英文法のルターさんです。
みなさんはみうらじゅんさんを知っていますか?
知りません…
みうらじゅんさんは京都の出身なんですよ。
地方自治体にいた「ゆるキャラ」をまとめて流行らせたのはみうらさんですし、
「マイブーム」という言葉を流行らせたのも、みうらさんです。
小学生の頃、おじいさんが「仏像マスター」でみうらさんをいろいろな寺社仏閣に案内してくださり、みうらさんはスクラップブックにまとめたものを東山中学の面接試験に持参し「君のような学生を待っていた」と言わしめたんですよ。そんなみうらさんでしたが、仏教とは縁遠い時期があり、おじいさんは嘆いていらっしゃったそうです。しかしその後『見仏記』を発表したり、2009年「国宝 阿修羅展」の前年に阿修羅ファンクラブ会長になられました。おじいさんも喜ばれたことでしょう。
話を戻しますが、みうらじゅんさんは「比較三原則」が幸福の鍵だと教えてくれています。
みうらじゅんさんの「比較三原則」
ラーメンを見た時に、「おいしそう」とか「ははーん、これはあの系統の味だな」とか言わない。 言うのは、「ラーメンだ」。それだけ。それを「おいしそう」とか言うと、必ず「この前食べたラーメンよりも~」とか比較を始めるでしょう。 「比較三原則」(註・みうらさんの造語。 「他人・過去・親」と自分を比較しないこと)は もうやめて、見たまんま「お、ラーメンだ」だけ言えば、優しい人になれるんじゃないでしょうか。
2018年11月1日「仏教伝道文化賞 沼田奨励賞」受賞記念インタビュー 第3回 優しくたって、構わない https://kangaeruhito.jp/interview/6134
なるほど。
「中今」(なかいま)とマルクス・アウレリウス『自省録』
赤塚不二夫さんの天才バカボンのパパの決めぜりふ「これでいいのだ」と同じ境地です。
「中今」(なかいま=今ここに焦点をあてる考え方)という概念とも共通しています。
未来や過去を思い煩うのは左脳で考えているからです。
マルクス・アウレリウス・アントニヌスが言うように、人が持っているのは「現在」のみです。
「今」「ここ」に焦点をあてましょう。それが幸せの鍵です。
●マルクス・アウレリウス・アントニヌスのことば
(前略)なんぴとも過去や未来を失うことはできない。自分の持っていないものを、どうして奪われることがありえようか。(中略)
もっとも長命の者も、もっとも早死する者も、失うものは同じであるということ。なぜならば人が失いうるものは現在だけなのである。というのは彼が持っているのはこれのみであり、なんぴとも自分の持っていないものを失うことはできないのである。※マルクス・アウレリウス・アントニヌス(121-180)はローマ皇帝で哲人。
マルクス・アウレリーウス『自省録』岩波文庫 第2章14節抜粋
五賢帝(ネルウァ、トラヤヌス、ハドリアヌス、アントニヌス・ピウス、マルクス・アウレリウスの5人の皇帝)の一人。
『星の王子さまの幸福論』(扶桑社)はネット検索して古本で購入して読了。
渡邊健一さんの優しいお人柄が伝わってくる、ルターが大好きな本です。
渡邊さんも「幸せになるために比較しないこと」を勧めています。
●渡邊健一さんの考える「幸せになるために大切なこと1~40」
渡邊健一『星の王子さまの幸福論』(扶桑社 2000)
その6 興味を外に向けなさい。そこには必ず幸せに役立つものがある。
その8 『人生の大目的』と『宇宙との一体感』を持ちなさい。
その10 幸せを人と比べては、いけないよ。
その37 肝心なことは目には見えない。心眼(心の目)が大切だよ。
ルターの見解としては、カルトにはまらないためには、七割は今ここに焦点をあてつつ、三割ぐらいは俯瞰する視点が必要かなと思っています。
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