【時制】②音楽の長調・短調のような、現在時制《説明調》・過去時制《物語調》

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時制(現在時制と過去時制)の解説

音楽の調が2つ(長調と短調)あるのと同じようなもの

ルターさん
ルターさん

時制は2つ(現在時制と過去時制)設定することに意義がある」のです。
音楽の調が2つ(長調と短調)あるのと同じようなものなのです。

太郎くん
太郎くん

なるほど。参考書や問題集に書いてあったりしますが、
未来時制とか完了時制とかはダメなんですね。

ルターさん
ルターさん

はい。現在時制と過去時制の2つなのです。

太郎くん
太郎くん

ルター先生の【時制】①の説明で、時制が3つ、12と考える方が納得して下さるとよいですね。

時制の考え方

★考え方1:時制とは、音楽で喩えるなら「長調と短調」である。
      現在時制が明るく変化に富むが、緊張感がある」長調
      過去時制が「暗く変化に乏しいが、淡々としていて安心感のある」短調
★考え方2:現在時制は「論評する」= 緊張
      過去時制は「物語る」= 緊張緩和

音楽の長調のような、現在時制《説明調》

ルターさん
ルターさん

【現在時制】をあらわしたのが以下の図です。

現在時制

音楽の短調のような、過去時制《物語調》

ルターさん
ルターさん

【過去時制】をあらわしたのが以下の図です。

過去時制

「時制は2つ」は、ポール・リクールの考えを参考にしている

ルターさん
ルターさん

フランスのポール・リクールの『時間と物語Ⅱ フィクション物語における時間の統合形象化』は、言語学者バンヴェニスト(Emile Benvenist)やヴァインリヒ(Harald Weinrich)らの諸説を取り上げて、時間とテキストの関係を考察した本です。

◆ポール・リクールの考えをルターがまとめたもの(括弧内はフランス語)
① 談話(discours)【現在時制】
論評する = 緊張
話し手と聞き手を想定する。
 しかも、話し手は聞き手に影響を与えようとする
・現在(le présent)
 未来(le futur)
 複合過去(le parfait)

② 物語(réci)【過去時制】
物語る = 緊張緩和
話し手は介入しない。
「出来事はひとりでに物語られるかのようである。」
・単純過去(le passé simple défini)
 半過去(l’imparfait)
 大過去(le plus-que-parfait)
 条件法(le conditionnel)

ポール・リクール(Paul Ricœur)、久米博 訳
『時間と物語Ⅱ フィクション物語における時間の統合形象化』新曜社(1988)pp.112-119

【過去完了形】ではなく、【過去形】+回数・期間 を使うので注意!

現在完了形を「過去」にずらして、過去完了形として使うわけではない

太郎くん
太郎くん

時制は2つだと分かりましたが、
現在時制を過去にずらせば過去時制になるんですよね?
現在完了形は、have+過去分詞で、
過去完了形は、had+過去分詞ですから、
同じように使えばいいんですよね?

2つの時制が相似形と考える人は、「現在→過去」のようにずらせばよいと思っている。
1) 現在形、現在進行形、現在完了形、現在完了進行形
2) 過去形、過去進行形、過去完了形、過去完了進行形

ルターの考えでは、現在時制と過去時制は相似形ではない

ルターさん
ルターさん

音楽の長調が明るいかんじで短調が暗い感じのように、
時制も現在時制が明るく緊張感があり、過去時制が暗い感じ落ち着いています。
ルターの考えでは、現在時制と過去時制は相似形ではないのです。
現在時制は説明調で、3本柱助動詞を多用する。
過去時制は物語調で、大黒柱1本(過去形)助動詞は極力使わない

時制のまとめ

大学入試で検証!【過去形】+回数・期間(過去完了形+回数・期間ではない)

ルターさん
ルターさん

現在完了形+回数・期間を「過去」にずらして、
過去完了形+回数・期間として使うわけではない

太郎くん
太郎くん

どうしてそう言えるのですか?

ルターさん
ルターさん

過去完了形+回数・期間を使わずに、
過去形+回数・期間を使うからです。
入試問題で出題されています。

過去形(動作動詞)+回数過去形+回数
1)東京にいたとき、3回、観た センター追96
“Have you ever seen that movie?”
“Yes. When I was in Tokyo, I ( ) it three times. ”
① had seen
② have seen
③ saw
④ would see
I saw
見た
three times
3回
2)1980年代に4回、訪れた   慶應大(理)03
We ( ) Italy four times during the 1980s.
① used to visit
② would visit
③ visited
④ have visited
We visited Italy
イタリアを訪れた
four times
4回
過去完了形を使わない例2:過去形(動作動詞)+回数
過去形(状態動詞)+期間過去形+期間
3)3年間住んでいた    センター98
I ( ) in China for three years when I was a child,
but I can’t speak Chinese at all.
① have been
② have once stayed
③ lived
④ went
I lived
住んでいた
for three years
3年間
4)子どもの時に住んでいた   学習院大(経)99
When I was a child, we ( ) in Singapore.
① had lived
② lived
③ have lived
④ would live
I lived
住んでいた
when I was a child
子どもだった時
過去完了形を使わない例2:過去形(状態動詞)+期間

正答と和訳

【過去形】+回数1)③ 「あの映画、観たことありますか?」「はい。東京にいた時に3回観た」
2)③ 私たちは1980年代にイタリアに4回訪れた。
【過去形】+期間3)③ 子どもの時に中国に3年間住んでいたが、中国語はまったく話せない。
4)② 子どもの時にシンガポールに3年間住んでいた。
正答と和訳
太郎くん
太郎くん

え~、ビックリです!
現在時制の
現在完了形 I have lived in China for three years.を
過去時制にするなら、
過去完了形 I had lived … にすればいいと思っていました。
過去完了形ではなく、
過去形 I lived in China for three years when I was a child.
なんですね!

ルターさん
ルターさん

過去形+回数・期間でよいことに注意しましょう。
過去完了形を使うのは、前後関係をはっきりしたいときです。

コメント

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