英語面接試験では「Topics(話題)が一貫している」ことが暗黙のルールです。例えば、話題を「建築」に決めたら「好きな建築物はありますか」ではじめて、最後に「伝統的な建物を保存することは重要か」を論じる。それが自然な会話に近い面接試験です。
「ESAT-Jの試験はダメだ」と抽象的に批判するだけでは英語教育を改革できません。
「話題がバラバラだから、ESAT-Jの試験はダメだ」と具体的に批判しましょう。
この記事で「こういうふうに英語面接試験をすると良い」とルターが思っている、IELTS(アイエルツ)の面接試験をご紹介し、英語教育が進むべき方向性を英語教育関係者と共有したいと思います。もちろん、英語学習者にも参考になる動画です。IELTS(アイエルツ)の面接方法、参考にしていきましょう。
1)IELTS(アイエルツ)はイギリス系
「アイエルツ」って初めて聞きました。
どういうものですか?
International English Language Testing System(IELTS:アイエルツ)
https://www.eiken.or.jp/ielts/merit/
・2010年より日本英語検定協会がブリティッシュ・カウンシルと日本のIELTSを共同運営。
・ブリティッシュ・カウンシル、IDP:IELTS オーストラリア、ケンブリッジ大学英語検定機構が共同運営で保有する試験
・海外留学や研修、およびイギリス、オーストラリア、カナダなどへの海外移住申請で英語力を証明するための試験。
https://www.britishcouncil.jp/exam/ielts
ブリティッシュ・カウンシルが主体になっていてイギリス系なんですね。
余談ですが、ルターは黒川泰男先生のアドバイスで2006年1月から3ヶ月、東京・市ヶ谷にあるブリティッシュ・カウンシルで「アカデミック・ライティング」を受講し、パラグラフライティングを勉強しました。お時間ある方、お勧めします。
2)面接試験は3部構成
閑話休題。話題が一貫しているので、受験者は短時間のインタビューにかかわらず、落ち着いて思考を深めていけます。
●YouTubeにある「IELTS(アイエルツ)のインタビューテスト」 Part 1は個人に関する質問:「友達」「健康」について Part 2はIndividual Long Turn:「好きな建物」について Part 3はTwo-way Discussion:「建物」について
3)例①「好きな建物」→「伝統的な建物を保存することは重要か」
Part 2 好きな建物について 1 どこにあるのか 2 どんなふうなのか 3 何に使われているか 4 なぜその建物が好きなのか Part 3 「伝統的な建物と現代的な建物」について論じる ●「伝統的な建物と現代的な建物がある。政府が伝統的な建物を保存することは重要だと思うか。それとも病院や学校などの不可欠なサービスにお金を使うべきか。」 ●「多くの人は近代的な建物に住むのが好きだが、どうしてそうなのだと思うか。」
本当に、話題が一貫していますね。
「政府が伝統的な建物を保存することは重要だと思うか。それとも病院や学校などの不可欠なサービスにお金を使うべきか」という質問に対して、回答者は「国の状況によって異なる。裕福な国では両者にお金を使えるが、貧しい国では後者が必要」と話しており、おざなりの回答ではなく、場合分けして論じている。
日本の面接風景とは異なりますね。
4)例②「好きな歌手」→「女性は男性より歌が上手いと思うか」
Part 2 好きな歌手について 1 誰なのか 2 初めて訊いたのはいつ、どこで 3 どういうタイプの歌か 4 なぜその歌手の歌が好きなのか Part 3 「歌うこと」について論じる ●「なぜ、ある人は歌が上手いのか」→「才能、練習による」 ●「才能を見つけるためにどういうことができるか」→「楽器演奏や歌の授業」 ●「歌が上手いとどんな良いことがあるか」→「有名になれる」 ●「女性は男性より歌が上手いと思うか」→ 「思わない、男女差は関係ない」
以上、アイエルツの面接を2つご紹介しました。
高校の「論理・表現」の授業で生かせるヒントがあります。
「2文構成で、まず事実を述べて、次に評価を言う」「場合分けをして論じる」など、こういう映像を見ながら、英語らしい話し方の流れを共有すると良いと思います。
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