〈ルター式例文〉のところに、有用な英文をストックします。
今回は「death(死)は代名詞heで受ける」です。ルターは『幸福な王子』を授業で読んで、deathはitではなくheな受けるのだという実例に触れて感心しました。その後、2019年にエリザベス・キューブラー=ロス さんの『ライフ・レッスン』にも該当箇所があったので、この文法知識は大事だと感じました。
船や国家は代名詞Sheで受けるというのも、かつての英語教育の常識でしたが、昨今はその説明をとんと見かけません。
英語の文語の伝統を伝えることは異文化理解の面白さが感じられますし、知識人の教養として知っていることが必要だとルターは考えています。
辞書『オーレックス英和辞典』(旺文社)のheとsheの説明
⑷ 《文語(書き言葉)》で山・川・死・戦争などを擬人化してheで受けることがあり、《口語(話し言葉)》でコンピューターをheで受けることもある
『オーレックス英和辞典』(旺文社)heの項目に加筆 p.867
⑴ 国名・船・車・自然などを擬人化して、sheで受けることがあるが、itの方がふつう。
(例)Something must be wrong with my car. She won’t start.
この車きっとどこかおかしい。どうしても動かないんだ。
⑵ 高等動物の雌にもsheを用いることがある。
(例)She is a tame lioness.
それはおとなしい雌ライオンだ。
『オーレックス英和辞典』(旺文社)sheの項目を再構成 p.1769
1)エリザベス・キューブラー=ロス 『ライフ・レッスン』
“Death is not a stranger to me anymore,” she replied.
“He is like an old acquaintance….”
「死は私にとってもはや見知らぬものではない。」と彼女は答えた。
「死は古い知り合いのようなものです。」
エリザベス・キューブラー=ロス (Elisabeth Kübler-Ross)
Life Lessons 第2章The Lesson of Love
2)オスカー・ワイルド『幸福な王子』
“It is not to Egypt that I am going,” said the Swallow.
“I am going to the House of Death. Death is the brother of Sleep, is he not?”
And he kissed the Happy Prince on the lips, and fell down dead at his feet.
「私が行くのはエジプトにではありません」とツバメは言いました。
「死の家に行くのです。 『死』というのは『眠り』の兄弟、ですよね」
そしてツバメは幸福の王子のくちびるにキスをして、 死んで彼の足元に落ちました。
オスカー・ワイルド『幸福な王子』
2019/06/14 新英研神奈川支部HPのブログ初出
関連記事2つ
検索してみました。
英語のフォーラムのご意見
https://forum.wordreference.com/は、勉強になります。
‘Death’: He, She or It?
Thread starter webbosoft Start date Dec 29, 2006
https://forum.wordreference.com/threads/death-he-she-or-it.337159/
エミリー・ディキンソンの詩の分析
死神(陰鬱な草刈り人)が男性だから、deathはheなんですね。
An analysis of Emily Dickinson’s (1830 – 1886) “Because I could not stop for death”
By admin Posted on February 19, 2018 By Ian Fletcher
Death in Western culture and literature was traditionally personified as ‘the Grim Reaper.’ ‘Grim’ means somber (unhappy) or gloomy and also fierce (violent): all negative meanings. A ‘reaper’ is someone who cuts a crop with a scythe and gathers / harvests it. The Grim Reaper is therefore gathering people in the terrible process of death. This personification of death is a frightening figure to be feared and avoided for as long as possible. However, he cannot be avoided forever and eventually comes to collect everyone, whoever they are. Therefore ‘Death’ when mentioned in literature is generally to be feared and his / its approach is dreaded.
(中略)
The capitalized “Death” is a personification because the poet uses the personal pronoun “He” to refer back to the abstract noun, which usually is “it”.西洋文化と文学において、死は伝統的に「死神」(the Grim Reaper 陰鬱な草刈り人)として擬人化されてきました。Grimは陰鬱(不幸)または陰気で、また凶暴(暴力的)という意味で、すべて否定的な意味です。Reaperは、鎌で作物を刈り取り、それを集めて収穫する人のことです。したがって、死神は、死という恐ろしい過程の中で人々を集めています。この死の擬人化は、できるだけ長く恐れられ、避けられるべき恐ろしい人物です。しかし、彼は永遠に避けることはできず、最終的には誰であろうとすべての人を集めに来ます。したがって、文学で言及される「死」は一般的に恐れられ、彼の/その接近は恐れられています。
(中略)
大文字の「死」は擬人化です。詩人(エミリー・ディキンソン)はその抽象名詞「死」を言及するのに(通常は「それ」を使いますが)人称代名詞「彼」を使用しています。
https://literaryyard.com/2018/02/19/an-analysis-of-emily-dickinsons-1830-1886-because-i-could-not-stop-for-death/
引用抜粋をGoogle翻訳して加筆訂正(だいぶ直しました)
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