
今回は「感情や体調を表わす-ing / -ed」と「動作を表す-ing(現在分詞) / -ed(過去分詞)」を区別すること、また、分詞構文がテーマです。
今日(2024/10/11)過去記事に加筆、pdf変更しました。
動画
雑誌『新英語教育』の原稿をまとめ読み(加筆あり)【pdf 2ページ】

雑誌記事のpdfがないので、Wordをpdfにしました。
記事の方が正直、読みやすいですね。
授業での2つの展開例:分詞/句動詞
この歌は、憂鬱な気分を抱えながらも結局は彼のところに行ってしまう「彼女」が主人公。その心の揺れが「分詞」や「句動詞」に込められている。歌を読みとりながら、文法事項の定着に使える、まさに「授業に歌を」にピッタリの曲だ
2つのアプローチを紹介したい。
分詞の持ち味は「〜して…」の「…」にあり
Rainy Days and Mondaysには現在分詞が多用されている。
Talking to my self…「自分に話しかけて…」
Feeling old…「年をとった感じがして…」
Hanging around…「ぶらぶらして…」
Walking around…「歩き回って…」
ここで注目していただきたいのは~ingの和訳の「〜して…」の「…」である。
「…」という意味だからこそ、
述語動詞として用いるときには、
現在進行形ではis / am / are「いる」、
過去進行形ではwas / were「いた」のように、
be動詞が必要になる。
分詞構文では、別途、述語動詞が必要になる。
分詞を扱うときに私がこの数年提唱しているのは以下の2点。
(1) 部分訳をつける。
(a) 現在進行形から現在完了進行形へ
I am いる | running. 走って… |
I’ve been (ずっと)いる | running for thirty minutes. 走って… |
【現在分詞】running「走って…」は共通。
be動詞をam「いる」→ have been「(ずっと)いる」にシフトしたと見なすことが出来る。
(b) 過去進行形、SVC、分詞構文
He was 彼はいた | running. 走って… | ||
He came 彼は来た | running. 走って… | ||
Running down the street, 走って…(誰が?) | he came up. 彼は(!) | ||
Night coming on, 夜が 始まって… | he went home. 彼は… | ||
I am busy 私は忙しい | doing my homework. 宿題をして… |
(2) -ing / -ed ①感情や体調、②動作 を区別。
①感情や体調:人の気持ちは-ed、物事の評価は-ing ②動作:人がする側で-ing、物はされる側で-ed 【現在分詞】《進行/能動》「(その場で)~して…」《未来》「(これから)~する…」 【過去分詞】《受動》「~され[て]…」《完了》「(すでに)~して…」 |
①感情 人の気持ちは-ed | I am いる | excited. 興奮して… |
②動作 《進行/能動》 (その場で)~して… | I am いる | running. 走って… |
いくら注意しても、*I am exciting.と生徒が言ってしまうのは「興奮している」というのを「動作の進行」と勘違いしているからである。「人の気持ちは-ed」「物事に関する評価は-ing」と私は生徒に話している。
①感情 物事の評価は-ing | This book is | boring. つまらない |
②動作《受動》 ~され[て]… | This book is いる | written in English. 書かれて… |
以上述べたのは「基本」である。
人もknown(知られて…)、loved(愛されて…)いる。
そして物事同然に「者」としてa boring person(つまらない人)のように人物評価されうる。
分詞構文で、現在分詞では「誰が?」、過去分詞では「何が?」と問いかける習慣を!
冒頭でTalking to my self…「自分に話しかけて…」と始まるが、ここで発問したいのが「誰が?」という問いだ。すでにmyselfで、主語は「私」だと判明しているが、Sometimes I’d like to quitのところにきて「私が」という主語が判明するということを強調したい。
江川泰一郎『英文法解説』は、文の主語と意味上の主語が不一致の分詞を「ずっこけ分詞」(dangling participle 懸垂分詞)と呼び、注意喚起している。英語では、文頭から始まる分詞は懸かる主語に合わせると生徒に意識づける必要がある(フランス語では、形容詞/分詞は懸かる名詞・代名詞に性数を合わせる)。
句動詞(Phrasal Verbs)から擬態語へ
Funny but it seems I always wind up here with you.(ばかみたい、結局いつも一緒にこうしてここにいるみたいね)のwind up。辞書を引くと「〜というはめになる」「結局〜になる」と書いてある。この歌で「なぜwindという動詞を選んでいるのか?」を考えさせながら「動詞をずらしていって擬音語・擬態語のニュアンスを出す」のが句動詞の醍醐味だと生徒に伝えたい。そのためには句動詞のグループ化が欠かせない。
日本語では擬態語「ぐるぐる/くねくね」「ぶらぶら」と表現するところを、wind(ねじを巻く)、hang(ぶらさがる)という動詞が表している。彼女が悩んで「どうしようかな」と思っている気持ちやためらいの「くねくね感」がwind upに表れている。
(1) 「場所を表わす副詞」の意味を確認
周囲 ├ about 辺り └ around 周囲 | その場 ├ up 登場から停止へ └ out「突出」「発生」 |
(2) 句動詞のグループ化 → 他との違いを示す
turn up(現れる)とend up(結局〜に終わる)の中間的位置にあるのがwind upだと示す。
turn up | turn:変化して〜になる |
show up | show:姿を見せる |
pop up | pop:「ポン!」というイメージ |
wind up | wind:「くるくる」巻くイメージ |
end up | end:終了する |
和訳「雨の日と月曜日は」
雨の日と月曜日は(Rainy Days and Mondays)♪カーペンターズ(Carpenters)
自分に話しかけて…、
年をとった感じがしたり…
時々、やめたくなる
何もかもがしっくりしないようなの
ぶらぶらしたり…
何にもできないで、しかめつらするだけ
雨の日と月曜日はいつも憂鬱
私の今の気分を
かつては「ブルーな気分」と言っていた
何か間違っているというわけではない
なじんでいない感じがしたり…
歩き回って…
寂しがり屋のピエロ
雨の日と月曜日はいつも憂鬱
ばかみたい
結局いつも一緒にこうしてここにいるみたいね
だれかが自分を愛していると知るのはいいもの
ばかみたい、これが唯一することだなんて
自分を愛してくれる人を走って見つけるだけ
私の思いは行ったり、来たり
口に出して言う必要はない
あなたも私もどんなものかだいたい知っているから
ぶらぶらしたり…
何にもできないで、しかめつらするだけ
雨の日と月曜日はいつも憂鬱
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