〈授業に歌を〉プリーズ・ミスター・ポストマン(Please Mr. Postman)♪カーペンターズ(Carpenters)

Please Mr Postman- The Carpenters (1975)
ルターさん
ルターさん

カーペンターズの明るくてノリがよく文法的にも申し分ない内容を含むこの歌。今回は「誤訳をしないコツ」をテーマにクイズ形式で紹介します。

雑誌『新英語教育』の元原稿をまとめ読み【pdf 2ページ】

ルターさん
ルターさん

雑誌記事のpdfがないので、Wordをpdfにしました。
記事の方が正直、読みやすいですね。

■連結(collocation)に注目すると誤訳しない

 歌詞にあるa letter saying …(…という手紙)を参考に、部分英作文を考えてください。
(1) 彼が戻ってくるという手紙
(2) 彼氏が微笑んでいる写真
(3) 彼が戻ってくるという知らせ(news)

 日本語の頭で考えるとa letterとa pictureにいわゆる「同格のthat節」をつけてしまいがちです。以下の方式で拡張すると誤訳しません。

(1)【文】→「名詞+形容詞節」に組み替える

【手紙は彼が戻ってくると書いている。】→ 「彼が戻ってくるという手紙

His letter
彼の手紙は
says that he’s returning.
書いている。
a letter
手紙



which says that he’s returning
それは書いている…
which said that he’s returning
それは書いていた…
saying that he’s returning
書いて…

 節にすると述語動詞をsaysかsaidか考慮しなくてはなりませんが、句ならsayingでよいので便利。

(2) 彼氏の写真を拡張する

彼氏の写真彼氏が微笑んでいる写真

名詞+of ~
a picture
写真
of my boyfriend
私の彼氏の〜
a picture
写真
of my boy friend smiling
 私の彼氏 微笑んで…

a picture that…とならず、a picture of my boyfriendを拡張していくというのは金子稔さんの英作文研究*1にあります。素晴らしいご指摘です。

(3) 【同格】 that節(名詞節)に見出し語the newsをつける

彼が帰ってくること → 彼が戻ってくるという知らせ(news)

見出し語+具体的な内容
 that he’s returning
彼が戻ってくる(こと)…
the news
知らせ
that he’s returning
彼が戻ってくる(こと)…

 レトリック研究者佐藤信夫さん流に、
見出し語のthe news(知らせ)をthat節の「内容の縮尺予告」*2として前につけたと考えると明快です。

■「予定確認」は現在進行形が基本

ルターさん
ルターさん

文法クイズです!

He’s returning home(彼が家に戻ってくる)に関する2問。どちらを言いますか?
1)「この夏、ロンドンに行くんです」
  A) I’ll visit London this summer.
  B) I’m visiting London this summer.
2)「明日来るの(ですか)?」
  A) Will you come tomorrow?
  B) Are you coming tomorrow?

クイズの解説

答えは両方ともB。

【助動詞will +動詞の原形】 勧誘・命令・その場で決意

I will doは何かの情報を得て「(じゃぁ)〜しよう」という話し手のその場での決意、
Will you do?は「〜しない?/〜してよ」と聞き手の決意を問う、勧誘や依頼の用法です。
・決意:I’ll call you soon. (L4)(また電話するよ)
勧誘:Will you come with me?(行かない?)
・依頼:Will you open the door? (ドア開けてよ)は
 Open the door, will you? 同様、ぞんざいに聞こえます。
 ゆえにWould you ~?やWill you ~, please ?と言うのです。

【現在進行形】予定確認  手帳に書いてある予定のイメージ

 Murphy*3の「手帳に書く様な予定のイメージ」と説明していますが、
日本語を母語とする私たちは「(これから)〜するの/〜するのです/〜するんだ」という和訳を当てればOK。(「〜する予定です/つもりです」と訳さないで…)

・Where are you going ? – I’m going for a haircut.     (Longman3)
(どこ行くの? 散髪に行くんだ)
・Nick’s getting married in September.  (L3)
(ニックは9月に結婚するんだ)

 この用法の現在進行形は現在時制の3本柱の1つで重要な骨組みです。
(今後、マンションの耐震構造と同じぐらい、重視してほしいです。)

*1 金子稔(1991)『現代英語・語法ノート』
*2佐藤信夫『レトリックの記号論』
*3 Murphy, R. English Grammar In Use, Cambridge

歌詞の和訳

■プリーズ・ミスター・ポストマン(Please Mr. Postman)
♪カーペンターズ( Carpenters)

(待って)あのちょっと待って郵便屋さん
待って、郵便屋さん
どうか、郵便屋さん、見てみて⇒
カバンに私への手紙があるかどうか
(どうか、どうか、郵便屋さん)
なんでこんなに時間がかかるの⇒
私が彼から知らせを聞くのに

今日は何かことばがあるはず⇒
遠くにいる彼から
どうか、郵便屋さん、見てみて⇒
私への手紙が、手紙があるかどうか

ここでずっと立っている
待っている…、郵便屋さん、こんなにがまんして
ハガキや手紙を
彼が私のもとへ帰ってくると書いてある…

何日も、素通りして
私の目に涙が流れるのが見えていたでしょ
立ち止まって気分をよくしてくれなかった
⇒ハガキか手紙を置いていくことで
もう一度私のために調べてみてよ
待って、待って
ねえ、(彼からの)手紙を届けて。
早ければ早いほどいいわ。

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